キネティックタイポグラフィ

使用楽曲 : Celluloid -Splash.ver-
作曲:煉獄小僧
編曲:煉獄庭園
ギター&ベース:ノーザン・キラー
歌&歌詞:みるく

制作者 : 井上 大地

1995年神奈川県生まれ。2014年明治大学総合数理学部現象数理学科入学。放送研究会入会後、主に内部での発表会にむけたショートムービーを多く制作している。映像制作時は編集を中心に出演以外をほぼ全て1人で行い、当サークル内ではやや異質な作品を作り出す。

The Making Of

構成から撮影、編集まで全て井上自身がこなす。短期間でここまでの作業を全て一人で行うことは至難の業。

撮影当日にグリーンバックを用意できないというハプニングが発生。緑色のビニールシートで即興のスタジオを製作した。

グリーンバッグが天井から落ちてくるというハプニングも発生。チームワークで何とか乗り切った。

机を足場にしているため、非常に不安定。

Interview

---- このテーマを与えられて、どういう映像にしようと思ったかを教えて下さい。

井上「このテーマで映像を作れと言われて最初に思ったのは、『ん、面白い。(原文ママ)』でしたね。キネティック・タイポグラフィという名前を聞いたのは初めてだったのでしたが、今までに幾度かその手の映像作品を見てきており実は元から少し興味がありました。基本的に好奇心と面白さで一人自分勝手に動く私は、人から「作れ」と言われて物を作るのが大嫌いですので、他のテーマだったらこの企画への参加を断っていたかもしれなかったですね。 作るジャンルは自動的にMVに決定、1曲Fullならおよそ3〜4分。今までに作った動画の平均時間がまさかの1分程度という私の中では実はなかなかの長編です。しかしそれでもスピード感と見心地のよさを意識する私の主義は変えられないので、ロック調で全力疾走できる、おまけに前から好きだったこの曲を選曲させて頂きました。 次に悩んだのは、構成をどうするかでしたね。せっかくストーリー性のある曲を選んだのだから活かしたい。でもまるごと文字で表現するのは凄く安っぽい。ドラマにしたら元も子もない。というわけで合わせてしまいました。通常なら完全に別のものとして扱われる筈の実写映像とCG文字が同じ空間に混ざり込み1つの物語を作るなんていう異次元ランデブーをさせられるのも、このテーマの特権ですからね。」

撮影は和気あいあいと行われた。監督の口から出るジョークの数々に現場の笑いは絶えなかった。

---- 映像内でこだわった点、または苦労した点は何ですか?

井上「こだわった点としてパッと浮かぶのは、3回あるサビの箇所ですね。やはりがっつり盛り上げるところなのでそこまでの雰囲気からガラっと変えてインパクトを押し出しました。編集時に特に時間をかけたのは2番のサビの部分、映画館のシーンです。この曲で映像を作ろうと決めて実写映像とCG文字を合成することを決めた後、真っ先に図を思いついた部分がここでした。私が作品を作り始める時、最初に「あ、これいいじゃん」と思いついたある1シーンを活かす為に全体を作り上げるというケースが多く、今回も流石にそのシーンのためだけという訳では無いですが、この作品を作る動機の一つではあるため大分力を入れました。
苦労した点は...まぁ言ってしまえばほぼ全部ですね。全部1人でやると気楽ではありますが時間の負担もアイデアを出す負担も多くなるので...。具体的にどこをどう苦労したかは、見て頂ければわかると思います。『作者の奴、ここ頑張ったな』と思って頂いたところがそれです。」

シーンの一部はこのような形で撮影が行われた。

---- これからの活動でどういった事をしていきたいと思いますか?

井上「他の方々のように、『教訓がどうやら』『見る人がこうやら』と言うようなものは一切ありません。私の小さい脳ではそんな凄い事考えていられませんからね! それはそれは大層見事な自己満足で映像制作やってます。やりたいことやって生きてます。私はよく周りから「すごく真面目だね」とか言われますが、実際このインタビューに答えてる今も『こんなに真面目に答えるよりも全部しりとりで回答するとかした方が面白いじゃんやっちゃおうかな』とか考えたりしてます。怒られそうなのでやめましたが。
そんな私にとって、こういった思いつきの実現を許して貰えるのが映像作品という舞台。自分でやれば自己実現、人に見せれば自己紹介。自分が全力で作った動画に対して人から全力の評価が下されれば、その人との強いコミニュケーションにもなります。
つまるところ、自分の為に自分が作りたい作品を自分の手で作り出す。今も昔もこれからも、それだけです。」

---- 井上さんの言葉、心にとても響きました。これからの活動の中でも、自分の信念を貫いていって欲しいです。ありがとうございました。

補足 : 「文字」で遊ぼう

あまり聞き慣れないテーマ名だったが、要するに「文字に命を吹き込む」ということである。単に曲に合わせて文字をスライドさせたり、その文字が持つ意味にそってアニメーションをさせたりと、表現のしかたは様々だ。
左は人気バンド「THE BAWDIES」の楽曲「HOT DOG」のミュージックビデオであるが、フォントや色の選び方、それら文字の出現のさせ方、どれをとっても素晴らしい映像である。

このような手法は様々な映像で見受けられ、動画サイト「ニコニコ動画」では高い人気を誇っている。技法の性質上、ボーカロイド(参考)で作られた曲のミュージックビデオで好んで採用される。

また、単に文章や単語をアニメーションさせるだけではなく、文字単体を組み合わせて生き物やキャラクターを形成させることもある。文字を用いて絵を作る遊びはあるが、これを映像に盛り込むことは面白い。
右の映像は数字やアルファベットを用いて植物や動物、建物や雲などを形作っている。タイトルにもあるように、工場が大量に建設された事が原因で降った酸性雨が、植物を枯らし、汚染を引き起こすというストーリー性のある映像である。製作技術と相まって、非常に完成度の高い映像となっている。
こういった映像は構成が難しく、制作も多大な時間と労力を費やす。しかし、完成した時の達成感は何物にも代えがたいものがある。あなたもぜひ挑戦してみよう。(河野)